法律事務所や法務部に就職したい人が取るべきゼミは?

法律事務所の就職に有利になる「ゼミ」はありますか?

最近、勤務中の法律事務所のアルバイトの学生の採用をしている時に、大学1〜2年生の学生さんによく聞かれる質問です。

確かに、もし有利なゼミがあるとすれば、戦略的にそこに入りたい気持ちありますよね?

かくいう管理人はゼミ選択の時にはまだ司法試験を目指していたので、迷いもなく司法試験の合格者が多いゼミにしました。

しかし、ゼミ選択の時に法務部や法律事務所に就職を狙っている友人たちは、情報が少なく困っていました。

そこで今回、法律事務所の採用からみた「ゼミ選び」のおすすめを解説してみようと思います。

そもそも、ゼミの話で人事は何を知りたいのか

「有名な教授のゼミの方が良い」という噂や、「あの先生は就職に強いらしい」という噂に、学生時代は流されるものですよね。

結局なところ情報が多すぎて分からなくなって、仲の良い先輩のゼミや受かりそうなゼミを選んでしまいがちです。

もちろん、採用担当者も全ての大学の大学教授を知っている訳ではないので、「田中先生のゼミです」と言われて「おお〜」となることは自分の出身大学ですらほとんどありません。

だから、「この先生のゼミ生なら安心」ということもありませんし、選んだゼミ自体で合否を決めている訳ではありません。

大事なのは「なぜ選んだのか」と「なにを学んだのか」がはっきりできるのかどうか

「テレビに出ている教授に習いました!ただ、正直ゼミの内容は難しすぎてわかりませんでした」という学生よりも

「社会の基本である契約について学びたいと思い、専門の教授に習いました。ゼミを通して『契約』という行為の本質について学びました」という学生の方が

戦略性や学ぶ姿勢も含めて、人となりが評価しやすいのは想像しやすいかと思います。

ゼミを選択するのは大学2年〜3年生で、大学生活においてもサークルの次に大きな選択です。

つまり、人事は、直近での一番重要な判断のエピソードを通して、

「重要な判断をする時にどういう思考をして、その判断に対してどう自己評価をできているか」を知りたいのです。

仕事においては、常に小さなことから大きなことまで判断を即座に下していく場面が出てきます。

そのような場面で、どうやって情報収集をして、どこを基準に判断をして、それに対してどういう自己評価を下せるのか。

単に「大学時代に何を学んだか」以上に「あなたという人間はどういう特徴があるのか」を見るための質問なのです。

文系の自称「就職に強いゼミ」を鵜呑みにすることはキケン?

そうはいっても、そんなに情報もないし分からないし、それだったらOBが有名企業に就職している「就職に強いゼミ」の方が良いじゃん!って思っていませんか?

そもそも、採用後すぐにプログラミングができる訳でもない文系で、「就職に強いゼミ」って何でしょう?

「就職に強いゼミ」とは「有名企業にOBがいるゼミ」の事

つまり、有名企業にいる先輩に話が聞きやすいので、就活の情報収集が楽になるゼミが、いわゆる「就職に強いゼミ」になのです。

また場合によっては、過去の先輩たちが残してくれたエントリーシートが蓄積されているとか、その程度のものでしょう。

「その程度のものでも重要じゃん!」と思ったあなた!!

そういう発想をした、若干他力本願ながら就活を成功させたい人が「就職に強いゼミ」には多く募集するので、必然的に競争率が高くなります。

つまり、そもそも母数が多いと、ゼミ入試の時点で優秀な人を選びやすいため、当然就職率もよくなり有名企業にいく確率も高くなる。というからくりです。

もちろんそのゼミの中で学べるものもあるでしょうが、優秀な人が集まれば就活の成績が良いのは「そりゃそうだ」の話です。

例えば、あなたが有名企業で営業職につきたいのであれば、就活の0次選抜試験のようなノリで「就職に強いゼミ」に挑んで見るのも良いでしょう。

でも、法務部や法律事務所といった、OBを探すことが難しく、ほとんど新卒採用がない業界に進むあなたに、そのゼミのコネは本当に必要でしょうか?

有名企業で営業をやってる先輩は、法律事務所の友人を紹介してくれるでしょうか??

そう、いわゆる文系の「就職に強いゼミ」は、逆にいえば「有名企業で営業やコンサルタントを目指すゼミ」とほぼ同義です。

そこで法律事務所の職員という「マイナー企業でマイナー職種」を選ぶあなたが、欲しい情報があるとは限らないのです。

法律事務所に就職したければ、司法試験受験生がいるゼミに入るべき!

じゃあ何のゼミに行けばいいんだよ!!と思ったあなた。

法務部や法律事務所に知り合いがいるのは誰でしょうか?

それは、弁護士やロースクール卒業生等、法律業界で現在ご飯を食べている人たちです。

法律業界は意外に狭く、OBに弁護士がいて知り合いに聞いてもらえれば、99%求人を出している事務所は見つかります。

また、法務部や法律事務所に就職した後に、将来的に一緒に仕事をするのはどのような人でしょうか?

それは、大学時代で高いレベルの知識を持っていてなお、その後も勉強し続けて国家試験に合格するような人たちなのです。

つまり、法律業界に資格なしで挑むあなたが選ぶべきゼミは、司法試験を受験するようが学生が、本気で勉強するために集まってくるようなゼミです。

司法試験受験生と同じ環境で、同じレベルで勉強ができるのは、大学時代のゼミが最初で最後のチャンスです。

そんな「ガチなゼミ」自分には無理だよ・・・と思ったあなたへ

ストレートに言います。

大学の数年間でもそのレベルに食いついて行けないなら、法律事務所の事務員なんて無理です。

あなたが目指しているのは、お茶汲みやコピー取りなどの事務ではないのです。(このご時世にそれだけの事務もほとんどないですが・・・)

死ぬほどの勉強を何年も続けて、ようやくスタートラインにたった国家資格者と、協力しながら時に議論する必要があるのが「法律事務」です。

資格をとるわけでもないのに、法改正は全て追いますし、条文は何度も何度も仕事で確認します。

分厚い論文や本や判例を読んで、根拠を結論をいつだって必死に探します。

だから、せめて数年でも「トップ」のレベルに触れて、同じ空間で頑張ることは必須だと管理人は思っています。

法律事務や法務部は「法律好き」「法律に対する勉強好き」でなければ、楽しめる職種ではありません。

将来の同僚と今だけでも同じレベルで頑張り抜ければ、間違いなく評価される

「スポーツ選手にはなれなかったから応援してましたけど、やっぱりアスリートの助けになりたいです」という人より

「スポーツ選手になれないのは分かっていたけど、アスリートの環境を理解するために同じ練習を死ぬほど頑張って続けてみました。その結果、アスリートをサポートすることに意義を見出したし、だからこそ、この業界で周囲に敬意を持って働けます」という人の方が採用したくなりますよね?

上の例は極端ですが、やはりサポートする側にも、一定のレベルと心意気は重要になってきます。

何よりも、いわゆる「ガチゼミ」でちゃんと卒業した頃には、同級生からは「あいつ試験も受けないのにすごいな」という評価がつきます。

OB会でも「法律事務所で働くために、せめて今は同じ目線で頑張りたい」という学生がいて頑張っていれば、OB弁護士としても「ちょっと知り合いの事務所紹介してあげようか」という気にもなるものです。

ガチゼミで頑張ることは「行きたい企業にインターンにいって業界に知り合いができる」ことと同じような効果が得られる可能性が高いのです。

さらにおまけとして、最近独立して事務所を構えた先輩に雇ってもらえる・・・という可能性だって出てきます。

「ガチなゼミ」でなければ法律事務所・法務部に就職できない・・・訳ではない

今回のお話は、ゼミを就活のために選ぶのであればこれがおすすめ・・・という話なので、決してゼミ選択で就職活動の全てが決まる訳ではありません。

ちゃんと自分で考えて、自分で結論を出して、自分で反省ができるのであれば、どのゼミだって十分に学ぶことがありますし、就活でも話せます。

いくらゼミで頑張って学べたとしても、面接でそれが伝わらなければ、就職には繋がりません。

正直、どこでなにが役立つかは、仕事をはじめてみないと分からないものですし、逆に直接仕事に役に立たないとしても、「何かを勉強した」という経験自体が役に立つことだってあります。

実際に管理人は大学時代ガチなゼミに入っていたため、営業に就職した際に同僚の大学時代の話を聞いて「もっと大学時代、お勉強ばっかりじゃなくて遊んでおけばよかった・・・」と反省する時期がありました。

そのあとに法律事務所に転職して、大学時代の専攻とは全く異なる法律を勉強することになりましたが、その時に司法試験受験生に揉まれた「経歴」やその中でも頑張って勉強した「経験」が生きてきたと感じる場面もありました。

今は、当時の自分のゼミ選びに心から感謝していますが、正直この事実を大学時代に知っておきたかったので記事にしてみました。いかがだったでしょうか?

最後になりますが、この記事を読んだあなたと、いつか一緒にお仕事ができることを心の底から祈っています。